古物商になろう


1. 古物商ってなに?

いわゆるリサイクルショップ・中古屋・古本屋などを営業するには、都道府県公安委員会(手続きは管轄の警察署)による許可が必要です。これは古物営業法という法律で定められており、営業の許可申請を行って許可を受けた人は「古物商」とよばれます。そうです。あなたも古物商になるのです。

古物営業法はこのほかに、古物商の義務や制限について詳細に定めています。当サイトのリンクから古物営業法の全文が閲覧できます。

2. なぜそんな規制があるの?

古物商へは、盗品が持ち込まれることが考えられます。窃盗犯が盗んだ物品を換金するわけです。警察としてはこういう盗品の流通経路を押さえたいので、古物を扱うものには許可を義務づけ、もし、盗品が持ち込まれたような場合には、すぐに警察と連携して盗品を回収し窃盗犯を追える体制を作っているのです。

実際、古物営業法には、古物を買い取る時に相手が怪しい人物でないか確認する義務や、盗品とおぼしき物品を買い取った時には通報する義務が明記されています。

また、売買の内容をきちんと古物台帳という帳簿に記録し、3年間保管する義務もあります。

ちなみに買取品を盗品だとして通報した場合、品物は警察が押収し、あなたの払った買い取り金額はパーになります(犯人に損害賠償請求は可能)。

3. 古物ってなに?

一度使用された物品や、新品でも使用のために取り引きされた物品のことです。多少の補修・改造をしたものも含みます。

一般の人が、「販売するため」以外の目的で購入したものは、すべて古物と考えていいでしょう。開封・使用したかどうかなどは一切関係ありません。お店で購入して受け取った瞬間に法律的には古物になります。

古物は、古物営業法施行規則により、次の13品目に分類されています。

許可申請時に、主として取り扱う品目を届けます。例えば古本なら「書籍商」の称号(?)が得られます。そして、それ以外にも扱う可能性のある品目については、同時に申請しておく必要があります。基本的に、無申請の品目を扱うことはできませんので、よく考えて申請書の営業品目欄に○印を付けておきましょう。その際の注意は後で述べます。

4. どこで許可申請を申し込んだらいいの?

始めようとするショップの営業所・事務所が1カ所の場合は、その事務所の所在地を管轄する公安委員会に申請します。と言うと難しいですが、要は、近所の警察署(交番ではダメですよ)の生活安全課・防犯係・保安係などと呼ばれる部署で手続きしてくれます。電話で尋ねると教えてくれます(絶対に110番(緊急)には電話しないように!)。

5. だれでも許可を受けられるの?

ほとんどの成人は申請して許可を得られます。

ただし、次のような方は許可を受けられません。

○成年被後見人・被保佐人・破産している人・服役後5年以内の人・住所不定の人・古物営業の許可を取り消されて5年以内の人・営業に関して成年者と同一の能力を有しない未成年者

6. 古物営業の許可申請の方法は?

・まず許可申請窓口に行って説明を聞こう

まず、上記の許可申請窓口に電話して、古物営業の許可申請をしたい旨を伝えます。

日時を調整して担当部署に来るように言われます。このとき、係と担当者の名前を確認しておきます。

警察署の担当部署に出向くと、申請方法の説明をしてくれて、申請に必要な書類一式をもらえます。

・まず必要な書類を揃えよう

説明を受けた次の各書類を準備します。都道府県や警察署によっては若干書類の種類や形式が異なる場合もありますので注意して下さい。

申請書類セットが完成したらコピーして正副2セット用意します。

古物商許可申請書

許可申請窓口でもらって、記入します。

たいがい、記入方法の説明書をもらえますので、それに従って記入します。

住民票の写し(1通)

住んでいる自治体に出かけて発行してもらいます。

本籍の表示が必要です。

身分証明書(1通)

本籍のある自治体に出かけて発行してもらいます。

成年被後見人・被保佐人に該当しないことが記してあります。

当然ながら、免許証や健康保険証では代わりになりませんので注意!

登記事項証明書(1通)

東京法務局で発行してもらいます。記入した申込書と返信用封筒を郵送して申し込んで、郵便で返送してもらいます。

申込書と申し込み方法の詳しい説明は、許可申請窓口で教えてもらえます。

書類が届くまで申し込みから2週間ほどかかります。気長に待ちましょう。

申し込む時は書留等で送るのが望ましいでしょう。

誓約書(1通)

許可申請窓口でもらって、記入します。

古物営業法を遵守します、警察に協力します、と言った内容が記入されているので、記名捺印します。

略歴書(1通)

許可申請窓口でもらって、記入します。

最近5年間の略歴を記入する簡単な履歴書のようなものです。

URL届け出書類(1通)

オークションなどでなく、自前のホームページでも営業する場合には、提出します。

具体的には、ショップのトップページのURLを記入して、署名捺印します。

まだショップのホームページを作ってないときは、実際に内容を作ってから届けることになります。この場合、作成から2週間以内に届けましょう。

プロバイダからのURL通知資料など(1通)

上記URLを使用する権利があることを証明する書類です。

プロバイダから最初に送られてきた資料で、ショップのURLとあなたの名前が共に記載されている資料が最適です。

・申請手続きをする

許可申請窓口に電話して申し込み可能な日時を教えてもらいます。

指定された日時に警察署の担当部署に出向いて、書類を提出します。

申請時に証紙代として、19,000円が必要です。警察署の会計で売っているので、購入して一緒に渡します。

不備があるといけないので、印鑑(三文判)は必ず持っていきます。

書類に不備がなければ、申請は終了です。

・待つ

申請から許可が下りるまでには、1ヶ月半ほどかかりますので、気長に待ちましょう。

・許可証の交付

忘れた頃に警察から呼び出しがあるので、指定された日時に警察署の担当部署へ出向きます。

許可を受けられた時にもらえるものは次の通りです。

許可番号

あなたの許可番号です。HPやチラシに、○○県公安委員会許可 第△△△△号と記入します。

古物営業の許可証

許可番号とあなたの住所氏名が記載されています。

買い取り時には、必ず携帯します。

古物営業標識

メインとして扱う品目によって「事務機商」「書籍商」のような称号と、許可番号が記入された、アルミのプレートです。

営業所がある場合は、必ず見やすい位置に掲示します。

古物営業のしおり

古物営業で特に注意する点などを記載した、わら半紙数ページの冊子です。多分、管轄の公安委員会によって、内容や程度は千差万別だと思います。

・古物防犯協会に入会

古物商の組合です。近年の大幅な古物営業法の規制緩和に伴って形骸化しており、実質何の活動もしていません(地域によるでしょう。東京都は組織化され活発に活動している様子です)。

警察の担当部署で、本部所在地を教えてもらえますので、許可を受けたその足で訪ねて入会します。

本部といっても、一般の商店だったりすることが多いので、訪ねる前に電話でアポを取った方が無難です。

警察から古物商標識の発行を委託されており、標識の発行がここで行われる場合もあります。また、古物台帳をくれます。

入会費は私の場合\10,000でしたが、地域によって変わる可能性があります。無意味だと思っても、黙って払っておくのが得策です。

・手続き完了!営業開始

営業所がある場合は標識を掲示します。無店舗で自宅のみで行うWebリサイクルショップの場合は、営業所がありませんので、作業机の周辺にでも飾っておきます。

オークションなどでなく、自前のホームページでも商品の販売を行う場合は、ホームページ中に、次の記述をする必要があります。

「○○県公安委員会許可 第△△△△号」の記述

代表者(あなた)の氏名・住所

ショップサイトで表示が義務づけられている特定商取引法表記の一部として記述するのがスマートです。

これで、今日から営業できます。

7. 許可申請時の注意点

・営業品目の選択

主として扱う品目を必ず1つ、そして扱う可能性のある品目を、13の品目区分からすべて届けておく必要があります。

営業品目を途中で変更する場合は、変更届が必要です。

届けなかった品目は買い取ることができません。かといって、面倒だからとすべてに○をすることは避けた方が無難です。その品目で盗品が発生した場合、警察から問い合わせがあったり立ち入り調査を受けたりすることがあります。無店舗Webリサイクルショップならあつかう可能性のない、自動車・バイクなどは○をしておかない方がベターです。

・行商にチェック

無店舗Webリサイクルショップでは、買い取りはお客の自宅で行いますので、必ず「行商をする」に○を付けておきます。

・営業所の届け

賃貸住宅で自宅を営業所として届ける場合には、必ず大家の了解を取っておきましょう。

8. 古物商の実際Q&A

・Q.手続きは面倒ですか?

A.時間はかかりますが、記入自体はとっても簡単です。普段警察署などあまり行かないので、怖そうに思うかもしれませんが、担当の方が(たとえ強面でも)やさしく教えてくれます(他の警察署でも、多分)。

・Q.営業していると警察からはちょくちょく連絡があるのですか?

A.私の所在地の大阪府では全くありません。逆に改正法施行(H15.9.1)に当たっても何の連絡もなく、サービス悪いなと思ったぐらいです。警察に尋ねてみたのですが、特に都市部では僅かな人員で多数の古物商を監督している状態で、大多数を占める「自動車商」の営業所を順番に調査に回るとそれだけで1年かかってしまうのが現状のようです。盗品が発生しやすい、自動車・バイクを営業品目に入れなければ、品触れ(盗品リスト)の通知も、立ち入り調査も、ほとんどないと考えてもいいでしょう。ただし、絶対にないわけではありませんので、いつ来てもよい状態にはしておくべきです。

また、地域差も顕著です。漏れ聞くところに寄ると東京都では、年1回の講習を義務づけ、調査等もしっかりあるとの事です。

・Q.古物台帳の記載は面倒ですか?

A.古物台帳は電磁的方法で作成しても構いません。つまり、エクセルの表などで十分ということです。もらった古物台帳を参考にして同等の内容を記録できるようにしておきましょう。保管義務の3年間は、「直ちに書面にて表示」つまりすぐに印刷できるようにファイルをバックアップしておけばOKです。しかも、一定の金額以下の取引や、特定の品物以外は、記帳義務が免除されますので、副業でのインターネットリサイクルショップでは、実際にはほとんど記帳する必要はない事になります。


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