真珠腫という病気について


作者が手術治療のために入院することになった病名は「真珠腫性慢性中耳炎」 通称真珠腫と呼ばれる耳の病気である。

割合まれではあるが奇病と云われる程ではなく、 あなたの周りにも見渡せば1人2人はいるだろう。

詳しい病態などはGoogleで「真珠腫」と入力し検索して調べて欲しいが、簡単にまとめると以下のような病気である。

この結果、症状としては、難聴・耳垂れ・鼓膜穿孔・耳茸・眩暈・頭痛などを引き起こす。 症状は普通の慢性中耳炎と同様で、本人の自覚症状としては大したものはない。 が、重大なのが頭蓋の骨組織を破壊しながら病巣が拡大していく点で、 放置すると、顔面神経麻痺や内耳の不全さらには脳硬膜に到達しきわめて致死率の高い 髄膜炎を引き起こす可能性もある。 その進行は割合ゆっくりとはしているが、早めの手術に越したことはない。

「真珠腫=手術が前提」はほとんどの耳鼻咽喉科医にとって常識とされている。


右耳の真珠腫までの履歴

幼少期から両耳ともに中耳炎外耳炎を繰り返し、慢性中耳炎を持病としていた。2,3年おきに中耳炎を起こし耳垂れが出て、そのたびに数ヶ月耳鼻科に通うという事の繰り返しだった。

今回の入院について、直接の騒動はまず2001年6月頃に右耳に慢性中耳炎の症状を認めたことから始まる。

じつはその直前に風邪をひき、耳の具合がおかしく近所の診療所へ通院しているので、たぶんこれが今回の始まりだと思われる。ただし注意しておくと、真珠腫自体は今回急に発生したのではなく、数年前もしくは十数年前から進行していたと思われる。現に4年前にも慢性中耳炎の症状で(別の)診療所に通院しておりそのときすでに真珠腫の疑いをもたれているのである。

話を戻すと、6月より耳垂れの発生があり診療所に通院開始。直後に右の聴力が(感覚的には)ほとんどなくなった。さらに外耳と鼓膜の境界部に耳茸を発生しこれが出血を繰り返した。

耳垂れを採取して行った原因菌の検査結果は、メシチリン耐性黄色ブドウ球菌、通称「MRSA」意外な菌の検出に正直驚いたが、診療所の先生の話では最近では幼児でもこの菌による中耳炎をはじめとする耳鼻咽喉系の疾患が増えているとのことだ。

ともかく事ここに及んで、薬での治療は望み薄となり真珠腫も疑われていることから総合病院での手術を勧められ、紹介状を書いてもらうことになった。

紹介された総合病院(割合家の近くだった)で再度検査をしてもらった。

まず原因菌を再度調べMRSAを確認。次に頭部レントゲンとCTにより、真珠腫にほぼ間違いがないという宣告を受けた。真珠腫の影響により耳茸が発生し、それが鼓膜を突き破って外耳部にまで突出し、耳道を完全に塞いでいると言うことだった。実際内視鏡で耳道内を見せてもらったが、全く鼓膜が見えず、触るとすぐ出血し耳垂れを出す耳茸が赤く見えるのみだった。

手術方法にはいろいろあるが、昔多用された手法に、耳後部を切開し頭蓋に穴を開けて患部へアプローチする方法がある。現在でも真珠腫の専門医などでもよく使用されている方法で、市販の中耳炎の本にもよく紹介されている。Webでもこの方法で手術をされた方の手記を探すことが出来ると思われる。

今回作者の主治医が採った方法は、耳道からのアプローチである。耳の上部を2cmほど切開し、耳道を拡げ手術用顕微鏡により患部を摘出する方法である。この場合、全身麻酔が前提となる。

真珠腫の進行具合は手術をしてみないと分からないと言うことだが、ともかく手術を勧められた。 入院期間はおよそ1ヶ月半とかなり長期にわたるため、仕事の都合をつける必要があった。

書籍やWebなどで情報を集め、妻と相談し手術を決断した。上司とも相談し仕事の都合が付く2001年 9月末〜10月初旬の入術と入院による休職を認めてもらった。

この時点で8月の初旬。入院までのほぼ2ヶ月の間は週に1度の総合病院への通院と 不調時の診療所への受診、あとは毎日の脱脂綿交換で乗り切る事にした。


左耳の真珠腫までの履歴

右耳の手術退院から半年後、左耳の普通の中耳炎が発生した。いつもの慢性中耳炎である。

右耳の定期受診のついでに左も診てもらうが、右のCTを撮ったときから、左もたぶん真珠腫様で、いつか手術をしなければならないだろう事は言われていた。そのため主治医は左の手術も薦めてはいたが、1ヶ月ほどの通院で耳垂れが止まったため、このときは特に手術もせず見送ることになった。

それからしばらくは小康状態が続き、2004年の暮れ頃、左耳の中耳炎が再発した。このときは、通院の手間を考え、最初は近くの耳鼻科クリニックへ通ったが、なかなか症状が治まらなかった。そこで、2005年の1月下旬頃、再度、右耳の手術を行った総合病院で主治医に左も診てもらい、症状の回復を目指した。しかし、今回はしばらくヶ月通っても症状の改善が診られなかった。これは真珠腫様の患部がずっと影響を強めているためだと思われた。

今回はMRSAのようなやっかいな菌は検出されなかった。

そのため、良い機会だから、と言うこともあり、早急に入院手術を行うことを前提に各種スケジュールを詰めていった。仕事の関係から手術は5月のGW辺りに行うこととなった。


真珠腫トップへ